Noushima Project #03

小値賀島で出会った古き良きもの

私たちの拠点となる納島へは、小値賀島を経由して、船で渡ります。

ここ小値賀島には、自然とともに生きる島の人々の温かさと、ゆっくりと長い時間をかけて育み、伝えられてきた、この島ならではの魅力があります。

今回は、私たちが出会ったその魅力のひとつ。

『活版印刷』についてご紹介します。

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納島プロジェクトとは

Hakutaiでは、大阪と長崎(納島)を拠点に、都市と地方(離島)に滞在しながら仕事するための仕組みを作り、離島に産業を作ることで貢献を目指す、納島プロジェクトがスタートしました。

ここでは、納島プロジェクトの活動をリアルタイムにお伝えしていきます。

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100年を超えて受け継がれる技術

小値賀島にある印刷会社『晋弘舎印刷』さんでは、活版印刷が行われています。

壁にぎっしりと並べられた「活字」とよばれる鉛製の文字と、「込めもの」とよばれる空白部分となる活字を、書体やサイズに合わせて一つ一つ拾い、組み合わせて、隙間のないページとして1枚の「版」が作られます。

この活字の凸面にインクをのせて刷る印刷技術を、活版印刷とよびます。

微調整しながら、印刷工程を進めていく職人の技術は、長い年月をかけて培われたもの。

『晋弘舎』さんでは、100年以上にわたり、代々伝統の技術が受けつがれているそうです。

三代目:横山さんの娘さんである桃子さんは、島を出てデザインを学ばれているときに、子どもの頃から日常だった活版印刷の価値と魅力を再認識されたそう。

現在、桃子さんは就職先の東京から小値賀島へ戻り、四代目として、伝統技術を継承し、その魅力をつたえるべく、日々修行されています。

デジタルでは醸し出せない”味わい深さ”

現代では、キーボードで文字を入力し、簡単に文章作成ができます。

パソコンでレイアウトを微調整したり、フォントや文字サイズを変え、印刷イメージを確認、即座に印刷することができるようになりました。

それとは対照的に、活版印刷では、1枚の版を作るだけでも、たいへんな手間と時間がかかります。

印刷の簡易性や生産効率の面において、活版印刷は”主流”ではなくなり、現在の製版・印刷技術が主流として置き換わりました。

しかし、活版印刷によって表現された印刷物には、デジタル技術では醸し出せない「かっこよさ」や「味わい深さ」があります。

機械の音、インクの香り、フォントの質感

デジタル技術で作られたものが、無機質で、雑味のない、計算された完璧なものだとしたら、

アナログ技術で作られたものには、どこか歪みのような、ゆらぎを感じます。

デジタルで完璧に大量生産されたコピー製品とは違って、ひとつひとつに個性があるように。

それらゆらぎが、なんとも言えない「かっこよさ」や「味」となって、私たちの心の琴線に触れているのではないでしょうか。

アナログレコードで聴くジャズや、豆を挽いてハンドドリップで入れたコーヒーと同じように、活版印刷にも、なんともいえない色気のような「味」を感じます。

職人の技術、人の手によって作られたものだからこそ、その想いや熱が込められた印刷物には、デジタルでは醸し出すことができない、深みがあるのだと思います。

100年を超えて伝えられてきた『手仕事』が生み出す機微や魅力。

それこそが、次の世代へと継承していくべき価値だと感じます。

きっと、その機微や魅力を感じ取ることができる感性が、私たち人間には宿っているから。

小値賀島で、活版印刷の文字に出会ったときには、”なんともいえない質感”や印刷文字の”色気”を味わってみてくださいね。


今回は、小値賀島の活版印刷についてご紹介しました。

次回は、私たちの拠点となる納島の古民家をご紹介します♪